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菖蒲谷
【しょうぶたに】


橋本市の北西部,菖蒲谷地区に位置する河谷。南海電鉄高野線の御幸辻駅から西へ約1kmの所に,橋本川(紀ノ川の支流)の支流をなす菖蒲谷川が流れ,その河谷域をいう。菖蒲谷川は河川箇所表による総延長2.1kmの1級河川。「続風土記」は,昔菖蒲が繁茂していたのが谷名の由来と記す。当谷は地質学的に特色がある。当谷の南側の洪積段丘は,河成の砂礫層と湖成の粘土層からなり,後者が菖蒲谷に見られる。河田喜代助はこの粘土層を菖蒲谷層と名づけた。また菖蒲谷川に沿って,御荷鉾(みかぶ)系の結晶片岩が菖蒲谷層上へ突き上げる,中央構造線の最新期の運動が認められる。昭和16年小林貞一がこれを菖蒲谷時階と命名した。菖蒲谷の西部,大字菖蒲谷の小字田和に地蔵寺(易産山護国院)があり,田和の地蔵または子安の地蔵という。「続風土記」には天正年間に焼失したものを慶安元年藩主南竜公徳川頼宣が再建したとあり,現在も安産祈願の参詣者が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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