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白馬山脈
【しらまさんみゃく】


城ケ森山脈とも呼び,山脈中の白馬山(957.3m)以東を城ケ森山脈,以西を白馬山脈と呼ぶこともある。有田(ありだ)郡・日高郡の郡界を,紀伊山地の最高峰護摩壇山(1,370m)付近から,東北東~西南西の走向をとり,西端は紀伊水道に達する壮年期に属する山脈。北は有田川を隔てて長峰山脈,南は日高川を隔てて果無(はてなし)山脈に相対している。有田川・日高川の分水嶺をなし,両河川の重要な水源となっている。部分称はそれぞれの主峰名にちなむ。現在では狭義の城ケ森山脈と白馬山脈を合わせて白馬山脈に統一している。城ケ森山(1,268m)・石堂山(1,080m)・水ケ宝形山(1,063.3m)・白井山(951m)を経て白馬山に至る間は,城ケ森山を除いてほぼ1,000m前後の標高。白馬山以西,中ノ硲山(651.4m)をはじめ,無名の山を経て長者ケ峰(650.6m)に至る間は,標高600~700m。長者ケ峰以西では,小山(457.8m)を経て西走し,高山寺山(530.3m)から日高郡由良町・川辺町,有田郡広川町の町境付近を北上し,水越峠(232m)の北部に達する。それより以西は,広川町・由良町・日高町において数条の支脈となって海に臨み,海岸一帯は海食崖のリアス式海岸となっている。また主脈から,北西あるいは南西に向かって多くの支脈が派生し,それらの支脈の間には,有田川・日高川の多くの支流が峡谷を刻む。森林資源に富み,国有林・京都大学演習林・私有林等,特に白馬山以東の山地は豊富な山林資源を有している。山脈一帯を地質あるいは地帯構造からみると,有田川流域一帯が極めて複雑であるのに対し,当山脈の北側には古生界(秩父累帯)と中生界(四万十累帯)を境する仏像糸川構造線が走り,山脈のほとんどが中生界に属し,日高川群層と呼ばれている。北部には同じ中生界に属する鳥の巣層あるいは寺杣累層が東西にわたって断続している。従来有田地方と日高地方を結ぶ交通上の障害となっていたが,一方では尾根等を利用して多くの古道が開かれ,熊野街道も,山脈の末端近く,広川町河瀬(ごのせ)から鹿ケ瀬(ししがせ)峠を越えて日高方面に通じている。現在では国道・県道など新道が開かれ,交通上の障害が取り除かれつつある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7172017