100辞書・辞典一括検索

JLogos

12

水軒浜
【すいけんはま】


和歌山市の南西部,西浜に位置する砂浜海岸。海岸線は約1.5km。紀ノ川が土入(どうにゆう)川の方に迂回して南流し,水軒川から大浦へ流出していたころ,磯の浦から南方に海岸砂丘が形成され,当浜はその南端に位置する。「続風土記」によると朝比奈段衛門が寛永年間に新田開発のため砂丘を防波堤として補強し,防風林に肥後松を取り寄せ,植林したとあり当浜の松林は現在県史跡に指定されている。浜の南端部に10代和歌山藩主治宝が文政元年から8年間かけて造営した和歌山藩水軒別邸(養翠園)があり今に武家庭園の美しさを伝える。水軒浜は白砂青松の遠浅海岸で,昔から県下随一の海水浴場として親しまれ,漁村としても栄えてきたが,昭和40年和歌山港拡張計画により和歌山南港として木材港へと一変した。現在外材輸入量では県下の約半分(50万t)を占め,その貯木場とともに約70の製材業など木材関係企業が集中しており,水軒浜の地名も人々から忘れられようとしている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7172107