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富田坂
【とんだざか】


西牟婁(にしむろ)郡白浜町富田字高瀬から,日置川(ひきがわ)町との境界にある安居辻松(あごのつじまつ)峠(390m)に至るおよそ4.8kmの坂道。この道は,田辺市から朝来(あつそ)(西牟婁郡上富田町)を経て熊野へ至る大辺路(おおへち)街道の一部で,「続風土記」には「高瀬村より南に向いて登ること一里許……坂道石高く路険にして大辺地街道の内坂道の険にして大なるはこの坂をして第一とす」とある。道の中ほどに七曲りという九十九折れの急峻な坂道のほか,峠近くには尾根伝いに茶屋の段というなだらかな部分もある。大正の初め,この道の南側海岸沿いに県道(現国道42号)が開通するまではこの地方の最も重要な陸路であった。現在は熊野街道のハイキングコースの1つとして整備されているほか,地元の人たちの山仕事道として利用されているにすぎない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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