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名草山
【なぐさやま】


和歌山市の南部に位置する孤峰。標高228.6m。南北にすそを広げた山容は美しいが,たびたびの火災で中腹以上は往昔の景観をとどめない。地質的には古生層が動力熱変成を受けて生じた長瀞(三波川)変成帯に属し,黒色片岩を主に緑色片岩が混じる構成。「万葉集」に「名草山言にしありけりわが恋の千重の一重も慰めなくに」とあるのが初見で,「日本書紀」にも神武東征説話中に「名草邑」の地名が見えることから,当山周辺の地名が郡名へ発展したとの説もある。また名草は渚の意ともいわれる。西斜面山腹には唐僧為光が宝亀元年に開創した紀三井山金剛宝寺護国院,通称紀三井寺があり,西国観音霊場三十三か所第2番札所として知られる。多宝塔・鐘楼・楼門・仏像5体は国重文,本堂は県文化財の指定を受ける。参道には近世以来の小規模な門前町が続く。同寺の桜は早咲きとして関西では特に名高い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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