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三舞山
【みまいやま】


大日の森ともいう。西牟婁(にしむろ)郡日置川(ひきがわ)町にある山。標高490.8m。新生代古第三紀砂泥岩層(牟婁層群)からなる。山名は「続風土記」に「三舞は三前なり,此方円方にして三方より望て前面皆同しを以ていふなり」とあり,穿入蛇行の発達する日置川を足下に持つためのことと思われる。大日の森とも呼ばれ,頂上には3基の石塔があり,大日如来・虚空蔵菩薩等が祀られ,熊野牛の生産地であった当地方の牛の守護神として近在に知られ,毎年1月丑の日には近郷の人々が集まり,縁日のようなにぎわいを見せた。社交場として近郷の人々の格好の行楽地であったが,この丑の日の行事は,第2次大戦後姿を消した。「名所図会」によれば山頂にあった池に鯉の化身の美女が現れ村人を迷わせたが,旅僧の読経で折伏したという。その記念として池畔に,田野井村天徳寺僧蕾瑞の手になる碑が刻まれたという。文化3年の建立で碑文全文は「続風土記」に掲載。小学校の遠足の場でもあったが,老樹が繁茂し,頂上からの眺望は開けない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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