麦粉森峠
【むぎこもりとうげ】

西牟婁(にしむろ)郡大塔(おおとう)村南西部に位置する標高約600mの峠。峠名の由来は不詳。旧三川村小谷から麦粉森峠を越えて旧鮎川村加茂に至る全長７～８kmの山道は，麦粉森越えと呼ばれ，戦前までは，旧三川村から田辺に至る主要道路であった。旧三川村からは茶・シイタケなどを背負って旧鮎川村へ，旧鮎川村からは米・味噌・醤油などが運ばれたほか，郵便物なども往来した。郵便局員は午前２～３時ごろ鮎川局を出発。ランプをたよりに麦粉森峠を越え，早朝小谷に着き，ここで三川局，市鹿野局の郵便物を受け取り，再び引き返して昼前には鮎川郵便局に戻ったという。昭和24年，深谷トンネル完成，三川～鮎川間の車道が完成すると，次第に麦粉森越えもすたれた。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7173802