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麦粉森山
【むぎこもりやま】


西牟婁(にしむろ)郡大塔(おおとう)村にある山。標高619.2m。果無(はてなし)山脈の1支脈にあり新生代古第三紀牟婁層群からなる。「生馬村郷土誌」には「鮎川村ノ境ニ聳エタル高峰ニシテ合川(ごうがわ)往来ノ要路ニ当リ,高峻ヲ以テ名高シ」とあり,麦粉森越えともいわれる旧往来が,村内の鮎川から三川地区小谷まで通じ,現在村道となっている。鮎川に「右五村 左くまの道」と書かれた庚申塚がある。五村とは旧三川地区の村々のことで,日置(ひき)川上流と富田(とんだ)川筋との重要な交通路で,田辺往来とも五村道ともいわれた。頂上には三角点があり,眼下に富田川流域から田辺・白浜を望み,紀伊水道・四国の島影をも遠望できる景勝の地。尾根道とはいえ,比高500mを一気に登る山道は険阻で,官吏辞職思案坂とも酷評されたという。現在では北麓を主要地方道上富田すさみ線が走り,麦粉森越えの必要はなくなった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7173803