矢鱈坂
【やたらざか】

西牟婁(にしむろ)郡串本町和深にある坂。県道松根和深停車場線の小川谷川に架かる坂之本橋付近から里川隧道までの約2kmをいう。上り下りが多いことからこの名が出たと思われる。坂道は牟礼(むれ)山（336m）南西斜面を左右に曲がりながら北に向かい，旧熊野街道大辺路(おおへち)の一部。里川隧道付近の標高は約200m。坂は大正後期に完成。それまでの古道は和深川の川沿いに続き，尾根伝いに里川隧道付近へ登った。峠付近から西へ下れば里川へ，東に折れて下れば，比曽原，三尾川に通じる。荷車も通れない急な山道で，住民は炭・米を背負って通った坂道である。里川隧道和深側出口に矢鱈坂地蔵がある。昭和34年県道に指定。付近の山にはスギ・ヒノキが植林されている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7173882