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沖ノ山
【おきのやま】


八頭(やず)郡智頭(ちず)町西部にある山。標高1,319m。千代(せんだい)川の源流に位置する。智頭町西部から若桜町へかけて円盤状の花崗岩山塊があるが,この山は山塊の南縁の稜線をなして,北縁稜線の東山・鳴滝山に対峙する。山容は西・南からは重厚な姿がすぐれ,西面は横瀬川,南面は大井谷川が深く浸食して急峻な山腹斜面を形成し,北面は東山との間に緩やかな高原状地形が広がり,北股川上流の大川と小川が流れている。大川の上流部は特に平坦となり,浸食の原地形を示す。山頂はチシマザサ群落を林床にもつブナ林で,かつての広大なブナ原生林は伐採によって姿を消し,山頂の西面と南面の1,100m以上の小面積にわずかに残存している。北面は伐採の跡の目立つ若い造林地で,西・南面の下流部は智頭林業の核心をなすスギの造林地帯である。東山との間の高原部には,かつて天然スギの巨樹が多く混生し,それより採取された種苗がいわゆる沖ノ山スギとして著名であった。この山域は今なおツキノワグマ生息の中心であり,森林性の鳥類も多い。山名については,荻原直正が「山の奥はるかの所にあるからの意かも知れぬ」としている(因伯地名雑話)のが妥当であろう。また,沖ノ山の名は必ずしも山頂ピークを指すものではなくて,かつては三滝浜の奥,大川・小川流域に広がる原生林域をよんだものであるらしい。山頂への登山道はないが,積雪期には山岳スキーの優れたコースとして,東山と結んで利用されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7174640