100辞書・辞典一括検索

JLogos

9

小鹿渓
【おしかけい】


東伯(とうはく)郡三朝(みささ)町,三徳川の支流小鹿川の上流にできた渓谷。神ノ倉より中津ダムに至る約4km間の渓谷。短い渓谷だが多くの小さな支谷(竹田谷川・管ケ谷川・尼子谷川・丹戸谷川)が合流している。渓谷の入口は標高約350m,上端は約600mで河床勾配が急で,この渓谷が河川の遷移点になっている。この高度差を利用して渓谷の上端にダムを作り中津貯水池とした。その水を隧道で丹戸(たんど)に送水して渓谷の入口に県営小鹿第一発電所を建設して,昭和32年10月に発電を開始した。しかし,中津ダムがつくられてからは,この渓谷に流れ込む水量が減少して,昔の景観とは変わってきたが,雄・雌滝を中心としたあたりが小鹿渓の中心となっている。昭和5年脇水鉄五郎工学博士の地質調査で紹介された。同12年12月に文部省から名勝地に指定された。流域の地質は中生代の花崗岩の中に硬い輝緑岩や斑糲岩などの岩脈が貫入していて,断層や節理の発達と浸食により多くの淵や滝ができている。渓谷流域の植物は豊富で両岸にはスギ・シラカシ・アカガシ・ホンシャクナゲ・トチノキ・オニグルミ・サワグルミなどが見られ,春の新緑と10月末の紅葉は美しく見物客でにぎわう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7174669