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湖山池
【こやまいけ】


鳥取市の西にある池。東西4km・南北2.4km・周囲約16km。池としては香川県の満濃池に次いで広く,面積約6.8km(^2)。最大水深は7.56m。東を流れている千代(せんだい)川の堆積作用と,湖山砂丘の発達で,日本海から埋め残された潟湖で,湖面には青島・津生島(つぶじま)・団子島・猫島・鳥が島など7つの島がある。最大の青島は標高60.8m,対岸の高住地区から青島大橋が昭和44年10月に架かり,島を一周する遊歩道もある。流入河川は湖山川(地元では長柄(ながら)川と呼ぶ)など3河川,排出河川は湖山川で千代川の河口にある賀露(かろ)港に通じている。植物性プランクトンが豊富で,ワカサギ(20t)・シラウオ(13t)・コイ(2t)・フナ(3t)・ウナギ(1.5t)・エビ(20t),その他の魚(10t)と淡水魚に恵まれている(市勢要覧1972年)。池の西岸にある三津・福井・金沢地区では全国的にも珍しい漁法「石がま」がみられ,水際に岩石を積み上げて作り,釜を伏せた形に見える。明治期に「石がま」1基の製作費は水田1haの価格と同等で,現在の貨幣価値で300万円位といわれている。現在50基ほどあるが鳥取大地震(昭和18年)の時に崩壊,使用されているのは大小5,6基である。上部の穴から棒を使って入口付近にいる,コイ・フナ・ウナギなどを最奥部の「ドウカン」に追い込み,「オトシ戸」を下ろして逃げ道をふさぎ網ですくい上げる漁法で,12~2月が漁期。昭和41年8月池の北東,湖山町南地区に鳥取大学が移転して以来,この地区は文教地区に変貌した。池の周辺には史跡名勝も多い。東岸の布勢地区に標高30mくらいの卯山(うやま)と呼んでいる小山があるが,その山腹には地元の人々から,布勢の山王様と親しまれている,興国年間創建の日吉(ひえ)神社があるほか,布勢古墳・天神山城址・防己尾(つづらお)城址・和泉式部胞衣(えな)塚などがある。池にまつわる伝説も多いが「湖山長者」伝説は大変裕福な長者がいて湖山長者と呼ばれ,彼の望みでかなわぬものは何ひとつないといわれていた。1,000町歩の水田を1日のうちに田植えをするのが,彼の自慢であったが,ある年太陽が早く沈みかけたので家宝の金の扇を持ち出し太陽を招くと,再び昼が戻りその日のうちに田植えを終えたが,その夜大雨が降り1,000町歩の彼の水田は一夜のうちに湖になってしまったという。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7175329