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洗足山
【せんぞくざん】


八頭(やず)郡用瀬(もちがせ)町南部にあり千代(せんだい)川右岸にそびえる山。標高736m。頭巾山より南へ連なる花崗岩山地の最高峰にあたる。全山にわたり,方状節理を有する大規模な露岩,岩壁があらわれ,因幡(いなば)地方の山地の中では異色の景観を有している。山名は「因幡志」によると千賊山と記され,金屋集落の奥にある鬼神のいたという千賊窟にかかわる名のようにみえるが,千賊が果たして字義の通りであるかどうかはわからない。地形名称として山麓平坦面を示す「せんぞく」があげられているが(鏡味完二:日本の地名),この山の西面,金屋・川中方面へかけて扇状地状の緩斜面が発達していることも考慮すべきであろう。金屋または川中より山中に入ることができるが,山頂への道は存在しない。面積の上ではアカマツ林が主体であるが,稜線部より岩壁部分にかけてゴヨウマツ・ヒノキを高木層とする群落が発達しており,この山を特色づけるものとなっている。ほかにホンシャクナゲ・イワウチワ・イワタケ・オサシダなど岩石地特有の植物が多い。中腹以下にはアカガシの生育も多く,これを食樹とするキリシマミドリシジミというチョウも生息していて注目されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7175758