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船通山
【せんつうざん】


日野郡日南町と島根県横田町の境にある山。標高1,142.5m。出雲地方でよんでいる鳥上峰と同じ山。頂上は流紋岩からなる壮年山地で,花崗岩との岩質差から接触部に鳥上滝ができる。周囲に視界を妨げる山がないので眺望がよく,山頂にはアカモノ・レンゲツツジ・イチイなどが見られ,植物の垂直分布が明瞭に認められる。頂上付近のイチイは国指定天然記念物。ブナ林もみられるがヒメモチとエゾユズリハを多産するなど植物学的にも貴重である。野鳥ではカッコウ・ケラ・ホトトギスなどが多い。当山は「旧事紀」によれば,八岐大蛇(やまたのおろち)退治に用いた天叢雲剣が現れたところといわれ,太古より砂鉄精錬の地であったことをうかがわせる。比婆道後帝釈国定公園に属す。日南町松原口から南麓を巡る林道が建設中。山頂への登山道は多里・阿毘縁・茶屋からの3コースがあり,頂上までは多里からおよそ6km。山名の由来は「伯耆志」に「此山神代に鳥上(又髪に作る)山と見えたり。今船通山と称する事何の代よりならん。名義詳ならず,一説あり下にいふべし」と記し,神代紀の伝として,素戔嗚尊が埴土で舟をつくり,東渡されたのにちなんで名付けられたとの説話を述べているが,名称の由来は別にあろうといっている。船は仙を意味するのかもしれない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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