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高鉢山
【たかはちやま】


八頭(やず)郡佐治村にある山。標高1,203m。三国山塊中の一峰をなす。山名の由来は,南側から見ると鉄かぶとのような形に見えるので,「高鉢」はその意であろうか。三国山塊は,三郡変成岩の基盤上にのる安山岩の山であるが,両者の境界が若干地形の上にあらわれ,700mあたりより急に山体がせりあがっている。安山岩の末端はしばしば柱状節理を有する岩壁となって各所で露出している。東面には巨瀑アマ滝を有する険しい尾際(おわい)谷(北谷)が切れ込み,この斜面にはまだかなりのブナ原生林が残されていて,渓谷部のトチノキ林の発達もよい。この谷の上部にシマイヌワラビが生育し,近年まで日本における北限とされていた。また,一帯の山腹露岩にはイヌワシが営巣し,カミキリムシの新種が発見されるなど,生物学上価値の高い山である。山頂に通じる道はない。山頂はチシマザサ林床のブナ林であって,眺望はきかない。現在,佐治村河本より川奥林道が開設され山腹を刻んで尾際谷中心部まで入っている。この谷の原生林中には木地師のものと見られる墓が散在している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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