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東郷池
【とうごういけ】


県のほぼ中央部,東伯(とうはく)郡東郷町,羽合(はわい)町に位置する池。池の形が鶴の形に似ていることから,鶴の池とも呼ばれるが,近年埋立てが進み池の形も変わっている。湖底は低平で水深2m内外,深い所でも3mの潟湖。湖底や湖岸から湧出する温泉は豊富で,東郷,羽合温泉を形成している。池にそそぐ川はいずれも小さく東郷川・羽衣石川・埴見川等東郷町全域の水を集めている。南谷から発する橋津川を北流して日本海に注ぐ,周囲10.1km,県下三大池の1つで面積約420haの淡水池である。洪積世以降の天神川の堆積作用により日本海と池とが隔離され潟湖となったもの。天神川はかつて直接東郷池に流れこんだり,橋津川と合流していた時期があった。羽合温泉地帯の突出部は天神川が運んだデルタの名残である。当池付近は昭和29年4月1日に三朝東郷湖県立公園に指定されている。また,温泉・湖・史跡・海水浴場など自然景観に恵まれた東郷池,羽合海岸の一帯は昭和47年度から東郷湖羽合臨海公園に指定され,あやめ池スポーツ広場など,県民のレジャー基地,大規模な都市公園として整備事業が進められている。砂丘地には砂丘ぶどう,池の周辺の高台は二十世紀梨の果樹園地帯で,県の梨生産の核心地域を形成している。8月下旬から10月上旬の収穫期には観光農園に約7万人の梨狩り客が訪れる。池からとれる魚はワカサギ・シラウオ・ウナギ・フナ・コイ,そしてシジミなど種類も豊富である。1月下旬には冬の風物詩のひとつ寒ブナ漁の本番を迎え,大寒のころは,フナの味が一段とさえる時期である。晴天が続いて水位が変わり,日本海が荒れた時には漂砂のため河口がとじ,海水が逆流して海棲魚族が池の中に入ってくることもあり,池のまわりの水田が冠水したりしたが,最近では橋津川の河口の防波堤,水門等の改修工事でなくなった。湖畔一周の道路もよく整備され,東郷温泉と羽合温泉の間には連絡船がかよい観光客の良き足となっている。最近池の透明度が悪くなったことから東郷池を浄化するため,湖底のヘドロのしゅんせつが昭和50年から行われている。湖水には古くから水鳥が越冬のため多数飛来しているが,最近では,ハクチョウやカモ類の数もふえている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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