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道後山
【どうごやま】


日野郡日南町と広島県東城町との境にある山。標高1,268.9m。鍋を伏せたようななだらかな山容を呈し,眺望もよい。西方3kmにある岩樋山も含めて道後山と総称することが多い。山頂に一等三角点があり,岩樋山には無線中継所がある。四方に水系が発達し,南斜面の水系は江川に至るものと,高梁川に続くものがあるが,北麓の水系は若松川をはじめ,すべて日野川に合流する。花崗岩からなる山地で中国準平原の残丘と考えられる。近くに蛇紋岩が分布し,若松・広瀬のクローム鉱山が開かれている。1,000m以上に山頂緩斜面があり,急傾斜の谷が,その低所に発達する。緩斜面のくぼ地には小湿原があり,湿原植物が分布。山頂部はシバを主とする草原で,高山植物の群落が発達する。山麓部は広葉樹林で,タニウツギ・ヤマツツジなどの低木林が発達する。山頂近くまで鉄穴(かんな)流しの跡が残っているが,この砂鉄生産が道後山にブナ林帯の発達を阻害したと思われる。山名の由来は山陰道,山陽道の背後にある山なので,道後山と称したと思われる。比婆道後帝釈国定公園に属し,広島県側には道後山スキー場がある。登山の対象としても早くから知られているが,登山道は主に広島県側からであり,本県側では多里か新屋から登ることもできる。6~7月のヤマツツジの大群落の開花が見事であったが,近年乱獲された。山頂付近で牛の放牧が行われ,両国牧場と称した。国境には石畳が築かれ,今も残っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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