100辞書・辞典一括検索

JLogos

13

鳥取砂丘
【とっとりさきゅう】


県東部の海岸砂丘。広義には千代(せんだい)川左岸の湖山砂丘と右岸の浜坂砂丘と福部砂丘を含めた範囲。東西16km・南北2km。わが国で最も雄大な砂丘。地形・地質・動植物学の見地からみて学術的価値が高い。特に中央部の浜坂砂丘の一部は天然記念物に指定されている。当砂丘の特長は,第1に起伏が大きく地形が変化に富むこと。砂丘中の最高点は,砂丘子どもの国の南の94.3mの三角点にあり,第3紀の山地を砂丘の砂が被覆したもの。当砂丘には円形または楕円形のくぼ地(スリバチ)が数多く分布する。主なものは馬ノ背・浜坂・東浜・合ガ谷(あわせがたに)・追後(おいご)・長者ケ庭など。馬ノ背スリバチは特に地下水の湧出量が多く,その水流は小阿川を作りやがて砂地に消えるので尻無(しりなし)川と呼ばれたが,現在は砂丘研究所の灌漑用水として利用。浜坂スリバチの底から湧出するものも,かなり水量が多く,浜坂の集落内を流れて犬橋で袋川と合する。追後スリバチは,大井古ともいい,馬蹄形の新砂丘に囲まれ,比高は30m低い。長者ケ庭スリバチは鳥取砂丘の中で最も面積が広く,降雨後は底部が浅い池に変わる。第2の特長は,風化した黄色や赤色の砂が多く,大陸の砂漠に似た景観をもつこと。これは,沖積世の新しい砂丘の下に,縄文から古墳期にかけて形成された化石砂丘や洪積世後期の古砂丘があり,黄色や赤褐色の砂が発達するからである。第3の特長は先史時代や歴史時代の遺跡が数多く分布すること。福部砂丘の直浪(すくなみ),浜坂砂丘のスリバチ底の散布遺跡,栃木山横穴遺跡,湖山砂丘の狐隈,スクモ山付近の遺跡などがある。馬ノ背や狐隈などのように地下水が湧出する場所には高師小僧と呼ばれる奇石が見られ,砂丘に点在する礫の中には,風食作用で三稜石になっているものも発見される。コウボウムギ・ハマヒルガオ・ハマゴウなどの砂丘植生がみられ,スリバチにハイネズやクロマツが育つ。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7176125