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鳥取平野
【とっとりへいや】


県東部に位置し,鳥取市と岩美郡国府町にまたがる千代(せんだい)川下流域に発達する平野。広い意味では千代川中流部の国中平野を含めることがある。地形的にはおよそ4地域に区分される。第1は海岸に沿った砂丘帯で千代川の左岸に湖山砂丘,右岸に浜坂砂丘がみられ,第2はデルタ地帯で後背湿地や沼沢地および湖山池などがあり,鳥取平野の中央部を形成し,千代川の両岸沿いに自然堤防が細長く分布している。第3は袋川扇状地,第4は千代川に入りこむ支流の谷底平野である。砂丘帯は最大幅2kmに及ぶ広大なもので,中世以後荒地化し飛砂の害に悩まされたが,16世紀以後次第に開拓がすすみ農地が広がった。デルタ地帯は縄文前期に海が入り込んでいた地域で,その後千代川の運ぶ土砂によって埋積されたものの,入海の名残としての湖山池のような潟湖が残り,過去においてはかなり多くの沼沢地がみられた。鳥取の市街地のある場所もそのような水鳥の多い沼地が多かった。鳥取市内の邑美(おうみ)の地名も大海とつながり,古海(ふるみ)の地名も同様に海が入りこんでいたことと関係がある。袋川扇状地は,低湿なデルタ地帯に比べ,古代においても高燥な場所であったため,条里地割が画然と引かれ,国庁・国分寺等が立地することができた。谷底平野は砂質の細長い平地で,野坂谷・有富谷・砂見谷のように呼称され古くから農業的利用がすすめられてきた。野坂谷の大桷遺跡,桂見・布勢グラウンド遺跡など縄文~中世の豊富な遺物がその歴史を物語る。鳥取平野のうちデルタ地帯は地盤が軟弱であり,鳥取地震の時には家屋の被害が著しかった。平野の中心都市鳥取は,市街地の拡大発展にともない,上記の各種の地形の上に都市化が進んでいる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7176130