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人形仙
【にんぎょうせん】


東伯(とうはく)郡三朝(みささ)町と岡山県上斎原村の境にある山。標高1,004m。当山の東面直下を旧人形峠が通り,それによって名付けられたものであろう。旧人形峠は,三朝町木地山の1.5km上流より南へ入る支谷をつめて達する県境稜線上にあり,「文化五年」の銘のある石地蔵がたつ。一帯は花崗岩の高原状地形で,鈩(たたら)製鉄のための鉄穴(かんな)流し跡による崩壊地やくぼ地が見られる。当山はこの花崗岩の上にのった第三紀安山岩よりなっており,峠より一挙に200mの比高を有する斜面をもって山頂に達する。三角点(1,004m)は霧ケ峰を中心とする県境稜線の東北端で,山としての独立性に乏しい。山頂という感じも稀薄。山頂稜線はブナ若齢木を散生するチシマザサ群落である。よく開析された北面は,落葉広葉樹の二次林と,スギ造林が混在する。南面はなだらかな高原状で同様の植生。山頂より旧人形峠に下る斜面はススキ草原で,峠より南下する谷は広い谷床に中国山地特有の湿原が発達する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7176393