100辞書・辞典一括検索

JLogos

16

三徳山
【みとくさん】


東伯(とうはく)郡三朝(みささ)町東部にある山。標高899.7m。三朝東郷湖県立公園の一部で国の名勝・史跡。かつては美徳山とも書いた。三朝温泉の東方約8km,北の三徳川と南の小鹿川がそれぞれ形造った渓谷の間に立地。地質は花崗岩や凝灰岩の基盤の上に噴出した安山岩が覆った高原状の山岳地形で,浸食が進み,険阻な谷や洞窟・奇岩が多く見られる。古くから霊山として信仰され,修験の場とされていたため,原生林が残っており,全山が三仏寺の境内といった趣きがある。三徳山特有のミトクナデシコや,中国地方では珍しく低い標高300~400mの地帯に分布するブナ林など,山全体が植物学的にも貴重な資料である。伝承によれば,慶雲3年,役行者が神窟を開き,子守・勝手・蔵王の3神を祀ったのが美徳山の開山とされ,三仏寺については嘉祥2年慈覚大師円仁が釈迦・阿弥陀・大日の3仏を安置し浄土院美徳山三仏寺と呼ばれるようになったという。伯耆の「国ケ峯」として山伏たちの修行の面での中心地であった。国宝の三仏寺投入堂は藤原時代の建築であるが,崖上の岩窟に役行者が法力で堂を投げ入れたという伝承を持つ。このほか,文殊堂・地蔵堂・納経堂が国の重要文化財に指定されており,深山幽谷の中に古代寺院の息吹を伝える三仏寺や三徳渓谷,国名勝の小鹿渓は四季を通じて観光客を集めている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7177047