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三室山
【みむろやま】


八頭(やず)郡若桜(わかさ)町南端,兵庫県との境にある山。兵庫県千種町では「しよう台」とも呼ぶ。標高1,358m。山容は円錐状に近く,どの方向から遠望しても,それとわかる特長をもっている。北面鳥取県側は加地川が深く浸食し,東面は揖保川支流の長大な赤西(あかさい)渓谷が刻んでいる。南面の千種川上流は比較的谷がひらけており,山麓まで集落や耕地が及んでいる。中国山地でも最も奥深いところに位置する山で,加地川沿いに千種町へ越す林道が山麓を通るが,鳥取県側よりの登山道はない。山頂は深いチシマザサ群落を伴うブナ林で,展望はよくない。山体を埋めていたブナ林は大半伐採され,山頂近くの小面積に限られ,そのほかは若いスギ・ヒノキの造林地や伐採跡のササ原に変わっている。近年荒れてはいるものの,深い山域であるため,ツキノワグマ・イヌワシ・クマタカといった大型動物,メボソムシクイ・ルリビタキ・コルリなどの亜高山性鳥類が生息する。西麓にあたる加地川上流の標高800m付近はやや平坦となり,天然記念物に指定されたスギの巨樹の下に,江戸期の墓をいくつか残している。また,このあたりには鈩(たたら)製鉄による「かなくそ」も散乱しているが,千種町側にはかなりの鈩跡が存在する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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