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霊石山
【れいせきざん】


八頭(やず)郡河原(かわはら)町,郡家(こおげ)町と鳥取市にまたがり,鳥取平野の南限に位置する標高334mの平頂な山。「因幡志」に「最勝寺山ノ名ナリ霊石ハ神之御子石ヲ表爾セル山ノ名ト云ヘリ土俗此ノ山一国ノ中央ニ在テ是ヨリ四方ノ境ニ至テ七八里ト云ヘリ……」とある。霊石山と呼ぶのは,寺の西北の山腹に神の御子石(みこいし)と呼ばれる方5m内外の巨石があり,猿田彦命の霊がこもる霊石としてたっとばれたことによる。古歌に「因幡なる神の御子石しるしあらば過ぎゆく秋の道しるべせよ」とあり,この石をよんだものだという。山の中腹に最勝寺があったことから最勝寺山ともいう。また,郡家地方の人は中山といったり横山といったりする。山体は,第三紀中新世中期の円通寺砂岩礫岩層が基盤となり,その上に鮮新世の玄武岩がのっている。頂上は美しい高原状の台地となり,伊勢ガ平と呼ばれハイキングや遠足の好適地となっており,NHKの中継塔まで自動車の通れる登山道がついている。伊勢ガ平にある3つの大石を皇居石と呼んでいる。「因幡志」に「山巓ニ皇居石ト号シタルアリ是レ上レル代大日孁ノ尊(天照皇大神)征西ノ時此山ニ皇居シ玉フ故其所ヲ伊勢ガ平ト云フ」とあり,天照大神が征西されたとき,この山にしばらく居られたと伝えているが,伊勢講や伊勢詣りなどに関連をもつ伝説地と思われる。舟形に中央が少しくぼんだ草原でここからの眺望はすばらしく,北方に鳥取平野を隔ててはるか日本海が望まれ,さらに南方八頭郡奥地の山並みが,指呼の間に展開する景勝地である。そのほか,最勝寺,源範頼の墓などの史跡がある。また,山の西側には採石場があり,北西の山麓には林業試験場があり,試験林として利用されている。頂上北側はハンググライダー基地としてにぎわっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7177426