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池が成山
【いけがなりやま】


能義(のぎ)郡広瀬町山佐地区の大字奥田原と西谷の境にある高さ612mの山。西谷の小学校付近から見れば西谷富士とうたわれ,奥田原方面では新高野(しんこうや)山と称している。もと小火山で,山上の凹地に水がたまり池ができたもので,「池ができた成り地」の意味から池が成といったものという。この地には次のような伝説が語り継がれている。ここへ正道上人らが,高野山から盗んだ仏像などを所持して乗り込んだ。奥田原の豪族加納又右衛門は,厚くこの一行を迎え,この地に32棟の庵坊を建てるなどして,地方信仰の的となった。このことが高野山に聞こえ,文安元年6月,戒善妙道を頭とする討手を派遣した。不意を突かれた池が成では全員斬死し,池の中に隠されていた仏像や宝剣は探し出されて高野勢に持ち去られた。地方の人々は正道上人を聖(ひじり)明神としてまつり,菩提を弔った。このような伝承から,新高野山の名称も生まれたという。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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