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甘南備寺山
【かんなみじやま】


江川(ごうのがわ)の右岸邑智(おおち)郡桜江町大字坂本にある山。標高522.4m。江川斜面は断崖をなし,背後は三原準平原に緩斜する。柿本人麻呂の「…渡りの山の黄葉(もみちば)の 散りの乱(まが)ひに妹が袖 さやにも見えず…」(万葉集巻2)の「渡りの山」をここに比定する説もある(万葉集古義・石見名所集など)。山麓に天平18年開創と伝えられる宝生山甘南備寺がある。もと法相宗,弘仁年間弘法大師によって真言宗に改められたという古刹である。もとは甘南備寺山の中腹にあり,元亀の頃兵火にあい再建された。明治5年の浜田地震後飲料水が涸渇したため,同17年4月妙楽庵の跡地に移転したのが現在の甘南備寺である。寺宝となっている黄櫨匂大鎧は佐々木高綱着用のものと伝えられ,国の重要文化財に指定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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