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百済浜
【くだらはま】


日本海沿岸,大田(おおだ)市鳥井(とりい)町笠ケ鼻東岸の浜。入江もあり,港となっている。7世紀の頃,百済国から渡来人が上陸し迫(さこ)に定住。地内には古墳もある。9世紀に百済鉄山が起こり,近くの海岸の砂鉄を原料として鈩(たたら)が開かれ,また近世,鳥取から砂鉄を運ぶ船も百済浜に入港し,鈩製鉄は明治中頃まで鳥井の石田家によって経営された。久手(くて)町の百済山観音寺に百済浜の海底から上がったという秘仏聖観音像がある。幕末,鳥取藩の勤王の志士河田景与ら一行は,長州に逃走するとき,荒波のため百済浜に上陸し,石田家の厚意で浜田に向かった。のち,参議河田景与は鳥井を訪れ,「捨て小舟波のまにまに漕ぎ寄せし昔を語るけふぞうれしき」と一首をのこしている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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