国賀浦
【くにがうら】

隠岐(おき)郡西ノ島町大字浦郷(うらごう)の北部海岸地帯。「隠州記」には「本郷より二十町西方に在り」と位置を示す程度の記述であるが，現在は大山(だいせん)隠岐国立公園内の有数の景勝地。西ノ島町全域が地質学上の第３紀生成の玄武岩の溶岩台地で，その構造は溶岩流と凝灰岩の積重ねにより断面は縞状互層となっているので，海食により垂直300mの断崖となり，わが国最大の断崖絶壁海岸を形成している。差別浸食によって断崖のほかに洞穴・奇岩・怪石が乱立しているのできわめて変化に富んでいる。小国賀(こくにが)という湾入泊地があり，断崖の上部に達することができる。断崖上部の台地面は隠岐独特の牧畑で，牛馬の悠然とした放牧風景が眺められるので風景の対比が鮮明である。国賀浦は漁場としても磯物の宝庫で，アワビ・サザエ・ワカメ・ブリ・タイ等が産物。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7178868