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恋山
【したいやま】


仁多(にた)郡仁多町大字阿井にある山で「風土記」に「恋山郡家の正南二十二里なり。古老の伝えに云えらく,和爾(わに)阿伊村に坐す神玉日女命を恋(した)いて上り到りき。その時、王日女命,石を以ちて川を塞(さ)えましければ,え会わずして恋えりき。故,恋山という」とあり,「風土記抄」に「恋山は阿位郷高尾村に俗呼んで志多布留(したぶる)山と云う是なり。此の処の川口,岩屋堆く重なり,崎嶇険阻なり。其の処に淵あり,謂わゆる玉日女命,石を以て河口を塞ぎて鰐魚登るを得ざりし処,此の攸(ところ)に到って鰐怖れて舌端を震わして退きぬ。故に舌振山と曰うなり」とある。馬木川下流の渓谷「鬼の舌震(したぶるい)」である。山を削り岩を浸食して巨岩の間を流れ下る渓谷は昭和2年史跡名勝天然記念物として指定され,昭和39年には県立自然公園となった。シラガシ・アベマキ・コナラ・アカマツなど密生する渓谷は美しい。花崗岩の節理面をうがった「甌穴ポットホール」も見られる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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