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大根島?
【だいこんじま】


中海(なかのうみ)にある島。八束(やつか)郡八束町の中心。もと島根郡に所属したが,江戸期は意宇(いう)郡,明治中期から八束郡となる。面積5.1km(^2)。中央の大塚山(標高42.2m)から八方に広がる低い台地状の島。堅硬多孔質の玄武岩から成り,島石を産する。地味が豊かで,奈良期には全島が官立牧場であった(風土記参究)。現在は,水田は少なく桑と野菜の畑が多く,朝鮮ニンジンは古くからの特産。花樹栽培も盛んで,ボタンは全国的に有名となり,島根県花ともなっている。沿岸では漁業も行われ,赤貝を採取。大字遅江(おそえ)には国の特別記念物に指定されている全長62mと100mの2本の溶岩トンネルがあり,天井には鱗状模様や溶岩鍾乳も見られ,貴重な地質学資料となっている。洞底の水中には目のない魚が生息。この他,島のほぼ中央にも全長81.1mの溶岩トンネルがある。「風土記」に,「蜛(たこ)島。周り一十八里一百歩,高さ三丈あり」とみえ,さらに島名の由来について,出雲郡の杵築御崎(きづきのみさき)にいた一匹のタコが,一羽の天羽々鷲(あめのははわし)に捕えられ,飛んで来てこの島におりたことによるとの伝承が記されている。また当時の人が栲(たく)島と誤称しているとも述べられている。「たこ」「たく」は近似音であるため生じた伝承であろう。それが時代を経て発音の近い大根となったものであろう(風土記参究)。現在,進行中の中海干拓が完成すると陸続きとなる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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