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大麻山
【たいまさん】


那賀(なか)郡三隅(みすみ)町大字室谷(むろだに)にある山。標高596m。海岸近くにそびえている。古来山見航法による目標山として海図にあり,船乗・漁民の信仰対象になっていた。山腹の式内社大麻山神社には石神の伝承があり,蔵王権現を本地とする。天暦3年真言宗尊勝寺を創立。江戸期には別当寺尊勝寺住職が神職を兼ねていた。山腹には寺・門前町もあり庶民の信仰を集めていた。大永3年大内義興の支援を受けた三隅興兼の軍と尼子経久がこの山において激戦し,尊勝寺堂宇,仁王堂仁王尊を焼失したという。両軍戦死者をまつる首塚・胴塚がある。天保7年大山崩れがあり尊勝寺は倒壊し,明治19年廃寺になった。慶応2年第2次征長の役に浜田藩兵がこの山を守っていたが,ほとんど戦うことなく長州軍が占領している。かつて,数条の登山路があったが,現在は折居(おりい)町から折居川に沿ってさかのぼり室谷から登る車道が山頂に達しているので,他の登山路は利用されていない。山頂にテレビ塔・無線中継塔等数基がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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