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十神山
【とかみやま】


安来(やすぎ)市安来港の東北突出部,標高92.9mの山である。「風土記」には「砥神嶋。周り三里一百八十歩。高さ六十丈あり。椎・松・・薺頭蒿(おはぎ)・都波・師太等の草木あり」と記され,その頃は島であったが土砂の堆積,近世享保頃の埋立によって油壺鼻(あぶらつぼばな)と続き山と呼ばれるようになった。十神と書くようになったのは,祝詞のとうかみからとか,安来神社の前身祇園社(ぎおんしや)の発祥地で,須佐之男命を主祭神に10柱の神をまつっていたからとの伝えも一部にはあるが確証はない。安来節に「安来千軒名の出たところ社日桜に十神山」と歌われる山である。古くからの安来港(津)の自然の防波堤となって,その西南部に港を抱えた地形である。戦国期には,尼子氏のとりでが置かれたように,東北西に及ぶ中海(なかのうみ)の監視にはもってこいの山である。江戸期卜蔵孫三郎による植林などが行われ,松樹の保安林となり,山桜が点綴する安来の代表的名所である。市街地からの眺望は裏も表もない円錐形に見え,北方に亀島がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7180239