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原山
【はらやま】


邑智(おおち)郡石見(いわみ)町大字矢上の南西部に位置する。原山山系の主峰。標高888m。どっしりと矢上中野盆地に向かってそびえ立つ山。伝説も多く,中腹には洞窟があってここに邑智須々美命を祀る。またこの洞窟には山姥(やまんば)が住んでいて,布を織っていたと伝えられている。古代,中野の賀茂神社に三重塔を建てる時,工匠ひだの工(たくみ)がこの山姥と論争をした結果,自分は塔を建てるが,山姥の布織りとどっちが早く仕上げるか競争しようと一夜を限って双方夕方より取り掛かった。夜を徹して工事をすすめたが,どうしても成就は難しい。明け方月光の下でふと原山を見ると,頂きに白布が一面に巻かれている。そこで工は競争に負けたと思って,荷物をまとめて日和(ひわ)に向かって走った。日和の峠から原山を見返ると,日も昇って原山はうっすらと霧がかかっている。原山を取り巻いた白布と思ったのは,原山にかかった霧であったという伝承がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7180802