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井倉洞
【いくらどう】


新見市井倉の高梁(たかはし)川河岸にそびえる240mに及ぶ石灰岩の絶壁の1つ,びょうぶ岳に開口する全長約1.2kmの観光洞(石灰洞)。現河床からの比高3mの洞口は小さく,高さ2m,幅2m。阿哲台上のドリーネの底に開口する井倉上の穴(通称舞谷の穴)と連鎖している。洞内は石灰岩の節理に沿う溶食作用の結果できた二方向の割れ目が発達し,前半部は南北方向,後半部はN80°Eの方向に延びている。3つの横穴が複合した洞窟で,水量は豊かで年間を通して絶えることはない。洞内には落差50mに達する地軸の滝・音の滝があり,激しく水音をたてている。二次生成物としてはカーテン・石筍・石柱などがあり,特に流水のある斜面上に形成された小規模の畦状の石灰華(石灰沈殿物)は,うねり状・半月状・舌状など変化に富む。昭和33年林田篤ら地元有志により発見され,新見市が観光洞として開発に着手,同34年11月より公開された。観光開発のため洞内の多量の流水を排除する目的で,人工トンネルを掘削。井倉洞外の断崖に水を落とし,人工の滝を作り洞外の景観を一層華やかなものとした。また観光客の人の流れをスムーズにするため,回遊式の人工トンネルを井倉洞の上部の獅子穴(石灰洞)まで接続して掘削,一方通行とすることに成功した。天然の井倉洞は総延長420m,高低差は90mであったが,人工洞を加えると総延長は1.2km,高低差は120mとなった。満奇洞・羅生門とともに新見市観光のシンボルである。昭和38年阿哲台の一部として県天然記念物となる。年間の入洞人員は約20万人(昭和61年度)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7182122