100辞書・辞典一括検索

JLogos

16

犬島
【いぬじま】


岡山市に属する島。邑久(おく)丘陵の沖合約2.8kmにあり,犬島本島・沖鼓島・犬ノ島・地竹ノ子島・沖竹ノ子島・白石島・鳩島の7島よりなるが,鳩島は現在本島と陸続きになっている。犬島本島は周囲約3.6km,東西800m,南北540m,付属の島を合わせ面積0.84km(^2)にすぎない。犬島の地名は,菅原道真が九州配流のためこの付近を通航したとき,日没となり,船は大渦巻に吸い込まれようとしたが,犬の鳴声のする方向に進むことにより難を免がれ,島に道真の愛犬と同じ形をした石があったことより名付けられたと伝えられている。また島の山上に4間余の犬に似た岩があり,戌亥の方を向いているので犬島の名がおこったともいわれる。全島良質の花崗岩で「犬島みかげ」と呼ばれ,岡山城・大坂城の築城のとき大石を送り出した。明治30~38年にかけての大阪港築港工事の時は石材を犬島が引き受け,以来石材の島として有名となった。採石業の隆盛期は大正期で,一時採石場は38か所もあったが,現在は2か所となっている。明治42年銅の製錬所が設けられ,にぎわいをみせたが大正8年閉鎖された。昭和9年二硫化炭素工場が建設され,再び活気を呈したが同43年閉鎖された。対岸の宝伝との間に定期便が通じている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7182235