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内海乢
【うつみだわ】


真庭郡川上村延助から鳥取県江府町下蚊屋に至る県境の峠。三平山の北の鞍部にあり標高約650m。主要地方道江府中和用瀬線が通る。内海峠とも書き,川上坂・下蚊屋越・沓掛峠などの名も残る。峠名は昔,水をたたえ内海のようだったという内海谷から越すことに由来するという。岡山県側は延助から内海谷の緩やかな登りで,県境付近には鳥取大学演習林が広がる。鳥取県側は峠頂から俣野川沿いの下蚊屋まで比高約150mを2段に分けて一気に下り,その間に広い河岸段丘をみる。峠からの大山南壁・鳥ケ山などの雄大な景観はすばらしい。この道筋は近世の備前地方と大山方面を結ぶ大山往来の本道にあたり,残された道標などによると,旧道は延助から内海谷北側の尾根道をとり,「作陽誌」に旭川水源の1つと記された川上地蔵のたつ竜王池の側を通って現在道の北の乢から下蚊屋に下っていた。美作と西伯耆との交易の峠として山中煙草などが移出され,鉄・木綿などが移入された。大山牛馬市には多数の博労が通い,延助・下蚊屋はその宿場であった。峠の改修は,岡山県側で明治18年,鳥取県側で同22年の記録がある。明治27年には内海谷県境切割工事が行われ,明治20年代後半にはほぼ現在の峠道が完成した。近年峠付近の道路が整備されて交通量も増加し,蒜山盆地の西の玄関口となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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