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大槌島
【おおづちじま】


備讃瀬戸の中央部にある島。北側は玉野市,南側は香川県高松市に所属する。花崗岩を基盤とし,その上に凝灰岩が,頂上部に安山岩をのせた円錐形の島で,面積0.2km(^2),周囲1.67km,標高170.8m。伝承によれば,日比に住んでいた刀鍛冶が日比の水は塩分が多くて良い刀がつくれないと金床と2つの槌を沖合に投げ,手前に落ちた大きな槌は大槌島となり,遠くに飛んだ槌は小槌島となったという(玉野の地名と由来)。ほかに,崇徳上皇が5部の大乗経を書写したものを大槌島と小槌島の間の槌戸瀬戸に沈めたことにより,両島合わせて経ケ島と呼ばれた。昔から付近一帯を多くの船舶が通過しており,康応元年3月には足利義満が通っている(鹿苑院殿厳島詣記)。周囲は潮流が約3ノットと早く,水深約50~70mであるが,島の東西は大曽(おぞ)の瀬という水深20m未満の浅瀬で好漁場となっている。享保16年に,日比・利生(おどう)・渋川の3村の漁民と,讃岐国香西浦の漁民との大曽の瀬の漁業権,大槌島の領有についての訴訟が起こった。幕府は実地調査をした結果,各藩から提出してある絵図には各々自国領として描いてあるが,大曽の瀬で両藩の漁民は鯛・サワラなどを獲って幕府に献上していること,大槌島の北側に日比村の畑があることなどから,同17年9月に大槌島とその東の大曽の瀬25町を南北に二分し,北側を備前領,南側を讃岐領とした。そのため現在大槌島を東西に岡山・香川の県境が通る。県境には明治22年に設置された「境」と文字を刻んだ石が残る。現在,大槌島は無人島で,小槌島との間の槌戸瀬戸は備讃瀬戸東航路で多くの船が通過し,大槌島の東側はフェリーなどの船が多く通る。瀬戸内海国立公園の一部に属する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7182595