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岡山平野
【おかやまへいや】


県の中央南部にある平野。高梁(たかはし)川・旭川・吉井川の三大河川,および中小河川の下流に形成された沖積平野で,吉備高原の南縁に位置する。その範囲は,岡山市街地・児島湾干拓地・倉敷市街地・水島工業地帯を中心に,東から邑久(おく)・上道平野,笹ケ瀬川・足守川流域,総社平野,玉島・里見川流域に及ぶ。平野の基盤は古生層,中生代花崗岩類からなり,その上に新生代第三紀中新世層,洪積層,沖積層がそれぞれ不整合に堆積する。その特徴は,他の平野にみられる洪積台地を欠き,大中河川にも明瞭な扇状地帯が形成されていない。これらは現在も進行しており,第三紀中新世以来の沈降帯のためである。江戸期の「寸簸之塵」などによると,中世の平野地形は現在の児島湾は穴海と記され,その海岸線は吉備高原に接するところまで広がり,岡山・石山・天神山などは海中の小島であったが,旭川の河口左岸の竜ノ口山の南面の一部が陸地化されていたとある。縄文中期までは現在の平野の大部分は海で,縄文後期から弥生時代にかけて陸化していったことは沖積層に含まれる珪藻化石の放射性炭素年代が示す。岡山平野の北部は自然堤防と後背低湿地の入り混じった氾濫原であり,南部は三角州とその前線を干拓した三角州帯である。特に17世紀以降,三角州前面の干潟は干拓によって急速に陸化されていった。さらに明治期から昭和期にかけての埋立てを含む干拓は現在の平野に大きな面積を占めている。氾濫原はしばしば河道を変え,三角州地帯は網状流路が形成された。これらを利用して用排水路が網状に発達し,大河川に水源を持つ用水の場合,瀬戸内地方にみられるような深刻な干害はなかった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7182668