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奥津渓
【おくつけい】


苫田郡奥津町にある渓谷。吉井川上流の奥津川にあり,約3kmにわたって花崗岩を穿入した峡谷美を呈する。昭和7年国名勝。S字形の穿入曲流で,琴淵・臼淵・笠淵などの淵や渓流の河床変化に富み,河岸の花崗岩板状節理と河川の浸食作用によって,天狗岩・女岩などの奇岩が形成されている。数回の隆起があり,比高約10mの岩石段丘上には直径30~50cmの甌穴があり,現河床にも径2mの甌穴がみられ,水流の強さや流路が長期間変動しなかったことを物語っている。特に甌穴群のある部分では,河床より比高20mに谷壁階段ともいうべき砂礫層がみられ,かつての河床面が高い位置にあったことがわかる。吉井川上流部の一大遷急点が奥津渓であり,約3kmの間に約40mの比高差がある。四季を通じて,観光客が訪れる名勝地。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7182707