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男山女山
【おんやまめんやま】


苫田郡鏡野町土居の東部にある山。標高は男山が260.3m,女山が204.7m。香々美川の西岸に沿って続く低い第三紀層の丘陵の上に,両山が南北に並び立つ姿は優美で愛らしく,北側の円錐のような男山と,南側の馬の鞍のような女山とが夫婦のように寄り添う様が,2つの山名の由来だといわれる。岩質は洪積世の玄武岩からなり,この地方によく見られる厚い第三紀層を貫いて上ってきたもので,洪積世以後の浸食作用によって軟らかい第三紀層が剥離されていくなかで,硬い玄武岩のみがドーム状に残った残丘の一種である。玄武岩が冷えて固まる際にできる六角形の柱状節理が,女山中腹の露頭などに広く見られる。このあたりの第三紀層は,徐々に堆積した級化成層をなし,砂岩と泥岩が何層にもわたって水平に重なっている。その露頭は男山・女山のふもとから南方の鏡野中学校前などに見事な姿を見せており,大野の整合と呼んで,昭和31年県天然記念物に指定されている。男山・女山の山頂からの眺望はよく,鏡野町南部一帯の低地や丘陵が見渡せる。特に東方への眺望はすばらしく,足下を流れる香々美川の岸から東方の津山市の田邑丘陵の下まで続く水田地帯は,古代の条里制遺構の残るところで,東西南北に敷かれた道路や用水路の状況が一望できる。大正期に四国八十八か所巡りに模した霊場が設けられて以来,登山客が多くなり,男山の頂上には休息所が設置され,桜も植樹されて憩いの場ともなっている。女山の頂上には,昭和50年に鏡野町交通安全母の会により,みかげ石製の小観音像が建立されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7182831