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黒沢山
【くろさわやま】


津山市東田辺の北部にある山。山頂は2つに分かれ,西側の山頂は標高659m。岩質は中~古生層の千枚岩質岩石からなる。津山盆地の北西端近くに位置し,同盆地と中国山地脊梁部とを分ける美作衝上断層のすぐ北にある。山地の連なる北側とは異なり,南に広がる津山盆地には標高300m程度の山地や丘陵しかなく,山頂からの眺望は絶景で津山市街地の全域を俯瞰できる。すぐ西には古城跡として知られる桝形山があり,背後には入道山などの標高700m以上の山地が続いている。黒沢山は全山が黒々した森林に覆われ,蛾の生息も多いなど生物相の変化に富む。このような豊かな自然が,山名の由来となったと思われる。和銅元年1月にこの山に入った進(薪)大夫という者が,山中の檜の大木の梢に虚空蔵菩薩が光り輝いて降下するのを見てこれを祀り,この祠がのちに黒沢山万福寺となったという。万福寺は東側の山頂直下の標高580mのところにある真言宗寺院である。祀られた虚空蔵菩薩は伊勢朝熊の知一万,奥州柳井津の力一万とともに,作州黒沢の福一万と称されて日本三福地の1つとして崇敬された。縁日の旧暦正月および6月13日には,毎年多数の参詣者があってにぎわいを見せる。江戸初期の津山藩主森氏も歴代尊崇し,寺領・灯明料などを寄進したという。現在山頂付近にはテレビ中継塔やマイクロウエーブの中継基地などが設置されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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