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糘山
【すくもやま】


久米郡久米町の東部に位置する山。標高261.7m。この山を最高所とする糘山山塊は,北を久米川低地,西を神代(こうじろ)川の浸食谷,南を倭文(しとり)川,東を嵯峨山との間を新生代第三紀丘陵の鞍部で画された独立山塊となっている。糘山山頂を三角錘状の山地形項とすれば北斜面が急で,南斜面が緩傾斜面といえる。糘山山塊の大半は,古生代末期の三郡変成岩に属する黒色片岩・緑色片岩で,谷の傾斜が急なV字に近い谷を形成する。南半は黒雲母花崗岩で,谷の傾斜が緩く,丘陵上の尾根が長く延びる。標高約200~250mにかけては,第三紀層が黒色片岩・花崗岩を不整合に覆っている。さらに,この第三紀層を貫いて噴出,固化しているのが塩基性(アルカリ)玄武岩リンバーグ岩である。リンバーグ岩は日本でも珍しい岩石で,久米町内の加治子山・三成,苫田郡鏡野町の男山・女山などが知られている。糘山山塊には縄文・弥生・古墳時代の遺跡が所在している。縄文時代のものとして後期の土器片,サヌカイトの剥片,小型石鏃多数が出土,また,コウデン2号墳の墳丘盛土からは,美作では類例のない翼状石器が出土している。さらに弥生時代も,中期後半から後期前半と見られる集落址が確認されており,竪穴住居掘立柱建物,袋状貯蔵穴が検出されている。古墳時代を見ると,急峻な山塊北半には,全長60mの前方後円墳狐塚を代表とする前半期のもの約60基,緩傾斜の南斜面には,七ツ塚古墳群に代表される横穴式石室を持つ円墳約60基が所在する。また花崗岩地帯であることから鉄穴流し遺構が確認され,古墳築造期との時代的一致が指摘され,その重要性が明らかとなっている。現在は,一部にゴルフ場が造成され,近隣から,あるいは中国自動車道を利用した近畿からのゴルフ客の訪れる地として,その様相も一変している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7184530