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滝山
【たきやま】


勝田郡奈義町滝本の北部にある山。標高1,196.5m。津山盆地の北東縁に広がる日本原の北にそびえる。東の那岐山,西の広戸仙・山形仙とともに那岐連峰を構成する。南斜面は比高800mを超す急斜面を呈する。地質は古生層や花崗岩からなり,山頂付近は中生代末から第三紀初期の安山岩質岩石で形成されている。山腹には大小多数の滝があり,古くから四十八滝と称され,代表的なものに岩屋の滝(約20m)がある。この滝は近藤の滝・広戸の滝とも,また男滝ともいわれる。約200m東には女滝もあり,ともに冬の凍滝が見事である。男滝の傍らに滝神社と称する古社があり,岩屋権現とも別称される。滝山の大部分はこの神社に属し,山名の由来ともなっている。山麓は標高300m付近から急に緩やかとなり,そこから南へ日本原の標式地ともいう平坦な面が幅700~800m,長さ5kmほどにわたって続く。近世には広戸野・奥日本野といわれ,広戸川と滝川の分水界にもなっている。かつて急斜面の直下の傾斜変換点付近に風穴と呼ばれる洞穴があり,この穴から当地方独特の強風広戸風が吹き出すと恐れられた。洞穴は風ノ宮として祀られ,この地域には珍しくこんもりとした森が残されていた。明治42年日本原一帯が陸軍演習地となると,この森は砲撃演習の目標となり,その面影をとどめぬほどに破壊された。現在は陸上自衛隊演習地の一部となっている。広戸風は時として秒速50mを超す強風となり,滝山・那岐山の山麓一帯を局地的に荒らす風のことで,四国沖を台風や大型低気圧が東進する時,滝山などの山頂部に風枕と称する雲が湧き上がり,その直後から吹き下ろし始めるという。氷ノ山後山那岐山国定公園に属する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7184809