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谷田峠
【たんだだわ】


「たにだとうげ」ともいう。阿哲郡神郷町和忠から鳥取県日南町上石見に通じる県境の峠。標高550m。県道新見日南線が通る。岡山県側から峠に向かうと正面に円錐形の大倉山がそびえ立ち目を引く。県境付近の峠の中では最も低く,勾配が緩やかであるため,古くから大山詣り・出雲詣りや大山での牛市(春大山・秋大山)など雲伯往来として盛んに利用された。また,伯耆の鉄や伯耆・出雲の綿などがこの峠を通って備中に入っていたようである。この峠は山陽文化と出雲文化が交流したところで,出雲文化を濃厚に受け入れた。また正保年間の「国郡領地図」には上石見を一日市としてあり,新見市上市の二日市,同市新見の三日市と商業的連絡も強かったようである。昭和49年に新見市千屋花見の明地トンネルが開通するまでは山陰・山陽を結ぶ主要幹線であったが,その後地位は急速に低下した。現JR伯備線が千屋花見の明地峠を通らず谷田峠を通ることになったのも,勾配が緩く低い峠であることによる。大正13年4月谷田峠の下を谷田トンネルが開通した。全長1,160mで,伯備線の中では最長である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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