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都窪丘陵地
【つくぼきゅうりょうち】


都窪郡早島町から浅口郡里庄町にかけて分布する瀬戸内丘陵の一部をいう。標高200m以下。吉備高原の南縁は,小田川や吉井川の支流などのほぼ東北東から西南西方向に流路をもつ河谷で切断されている。それより南の標高300m内外の小起伏丘陵と200m以下の丘陵がいくつにも分断され,その間に平野が広がっている。丘陵の配列も河谷と同じく東北東から西南西方向が卓越している。丘陵は稜線の高さがそろっており,頂部は丸みを帯びている。谷は溺谷や開析谷が埋積されたものが多く,丘陵斜面と平地との境が明瞭である。谷は棚田として水田耕作が行われてきたが,用水は溜池を主体としている。特に,谷の上流部に多くの溜池が造られ,その下手を水田,周りを畑地として集落が立地した。地質は主として花崗岩であるが,浅口郡船穂町などでは洪積層(山砂利層)もみられる。北の遥照山地と南の寄島山地の間にある浅口郡の里庄町・鴨方町・金光町,倉敷市玉島の丘陵地はモモ・葉タバコ・除虫菊などの産地であったが,昭和40年代以降は宅地化が進んでいる。船穂町の丘陵はブドウ栽培が盛んで,露地のブドウ畑・ハウス・温室が林立している。特にマスカット種の温室栽培は岡山を代表する地位を築いている。瀬戸大橋児島坂出ルートの本州側の起点となっている早島町から岡山市大内田にまたがる丘陵地には,県総合流通センターが昭和50年代から建設され,宅地化も進展して林野から都市的土地利用へと急速に変貌した。都窪郡山手村・同郡清音村・倉敷市・総社市・岡山市にまたがる丘陵地では,福山を中心に古生層の硬質岩があるが,他はほとんど花崗岩類が分布している。このため福山では急峻な山体となっているが,中腹部から山麓にかけては浸食が進んで穏やかな地形となっている。福山はその地形を利用して古代から中世にかけて山岳仏教の中心となり,南北朝期の福山合戦で焼失するまでは多くの寺院が建っていた。この山手・清音両村を中心とした山辺の地は古代の官道山陽道が東西に通り,これに対し南北の道としては水別(みずわかん)峠が都窪丘陵越えに利用された。また作山・角力取山・造山などの古墳も多い。現在はこの地域も都市近郊型の農業経営に特色があり,丘陵はモモを中心とした果樹園となり,メロンなどの栽培も盛んである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7185026