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津黒山
【つぐろせん】


真庭郡中和(ちゆうか)村東部にある山。苫田郡奥津町と鳥取県三朝町との境界に近い。標高1,118m。東中国山地の旭川・吉井川の上流に挟まれた地域にある津黒山塊の主峰で,主脈は中生代後期の安山岩からなる。山頂付近はなだらかな草原で清水も湧出し,山頂東のピークから北と東に延びる稜線が県境と陰陽の分水界をなすが,南方へは白髪(しらす)山・山乗山など1,000m級の山々が連なる。北西面は標高700m付近から緩傾斜となり,標高600m前後の津黒高原が開ける。このあたりは古くから頂上付近まで採草地・放牧地として利用され山焼がなされていたが,明治44年地区有山林の統一ということで中和村有となり,野焼は禁止され自然林が育成,造林も進んだ。雄大な景観に恵まれるため湯原奥津県立自然公園に指定され,昭和49年に津黒温泉を利用して津黒高原上に村営国民宿舎がオープン,さらに標高600~700m付近に県営津黒高原スキー場が開設され観光化も進む。昭和59年には山麓の津黒から北西斜面を登り,山頂北の標高950m付近を越え稜線に沿って東に延び,奥津町羽出から苫田郡上斎原村人形峠に至る広域基幹林道美作北2号線が完成し,林業振興,観光開発が期待される。林道沿いの山頂東の鞍部には奥津町中ノ原から鳥取県三朝町大谷に越える標高約910mの大谷峠(ひょうたん乢)があり石地蔵が残る。一方,津黒山南西麓は山乗川が西流し山乗渓谷をつくり,往古から原生林に覆われ人跡まれな地であったが,明暦3年には中和・奥津町村境の山乗に木地師稼業の記録がある(筒井八幡宮氏子駈帳)。ブナの原生林は大正期に三朝町の中国製鉄下西谷工場の製鉄燃料として伐採されるなどし,現在は山乗渓谷から山乗山の南の鞍部を越えて奥津町に至る県道下和奥津川西線のほとりと町村境付近に残るのみとなっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7185032