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八塔寺山
【はっとうじやま】


県中東部,和気郡吉永町北部にある山。標高538.6mで備前有数の高峰。吉備高原南縁部に位置する。山体は流斑岩に貫入した石英粗面岩からなる残丘。堂山・行者山とも呼ばれ,古くから山岳仏教が栄え,修験者の修行場となっていた。北側の谷道や男滝・女滝への道は行者道と呼ばれ,修行場の1つである。山頂南の標高520m付近に修験者がおこもりをする行者堂があり,そこに至る急斜面に鉄鎖が残っている。北側は八塔寺川と吉野川の支流白水川の水源となっている。ふもとから山頂までの比高は130mにすぎず,徒歩で20~30分で登頂が可能。山頂からは南に瀬戸内海・四国,北に中国山地が遠望できる。南麓には八塔寺の集落があり,その中心部に平安期以降西の高野山と呼ばれた八塔寺があり,地名・山名もこれに由来する。昭和30年代から人口流出が続いていたが,八塔寺門前地区18戸の住民の総意で自然を残した観光開発が計画され,約50haが「ふるさと村」の指定を受け,昭和50年八塔寺山周辺の33.4haが自然保護地域に指定され,スタジイ・シラカシなどからなる常緑広葉樹林,ツガ・モミの自然林,ラン科のカキラン,サギソウ,ネジバナ,ササユリ,リンドウ,ナデシコなどの草花が見られる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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