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福山
【ふくやま】


倉敷市北部から都窪郡の山手・清音両村にまたがる山。標高302m。岡山平野の中に位置する。山体は古生層の基盤の上に中生代末の流紋岩がのり,椀を伏せたような山容を呈す。北斜面は比較的急で,南斜面はやや緩やかな傾動性地塊をなす。東斜面に続く和霊山や西に続く軽部山は粘板岩,南斜面は輝緑凝灰岩および輝緑岩からなる。古くは加佐米山と呼ばれたが,山岳仏教の栄えた平安期から福山寺をはじめとして十二坊の寺院が建立されて,福山の名称となったといわれる。延元元年,新田義貞方の大井田氏経がここに立てこもり,城を築いて九州より上った足利直義の軍を迎え戦い敗れた。この福山合戦の時に一山十二坊の伽藍が焼失した。北西の峰続きには,戦国期の幸山城跡がある。東の仕手倉山山塊との境界部に南北に走る断層谷が発達し,北の山陽道と南の鴨方往来を結ぶ道に利用された。現在は国道429号が通過し,倉敷市と総社市・津山市を結んでいるが,新岡山空港を結ぶ短絡路としていっそうの整備が望まれる。分水嶺が水別峠(50m)で,断層谷には倉敷側に4つ,山手側に3つの溜池があり,総称して七つ池と呼ぶ。福山への登山路は好適なハイキングコースで,探鳥コースもある。山頂からの眺望は優れ,北側は備中国分寺跡をはじめ作山古墳など史跡に富んだ吉備路風土記の丘一帯から総社市市街,鬼ノ城山など主に歴史的景観,南側は倉敷市街・水島工業地帯から瀬戸内海にかけて近代的景観が一望できる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7186346