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瑜伽山
【ゆがさん】


児島半島中央部にある山。由加山とも書き,「ゆうがさん」ともいう。児島半島中央部,倉敷市児島由加にある山。瑜伽山蓮台寺・由加神社で知られる。多宝塔のある位置が標高245mを示す。昭和25年瀬戸内海国立公園の一部にも指定された。瑜伽とは梵語のヨーガーで,ある目的のために心を引きしめて力を集中する意味,権現は仏が仮りに神となってあらわれることを指すといわれている。古来霊場として知られ,瑜伽の信仰は瑜伽大権現として由加神社と蓮台寺の総称であったが,明治5年,政府の神仏分離政策により分けられて今日に至っている。石段を登りつめると左手に蓮台寺,右には珍しい備前焼製の大鳥居をくぐって由加神社が配置されている。由加への参道は大体五筋あり,田の口港からの南路,下津井港から入った上村道(西路),吉備津・藤戸・林からの林道(北路),日比港からの東路および児島湾岸の迫川からのぼる尾根伝いの旧道である。5つの街道にはそれぞれ,参道口に石鳥居を建て,1丁ごとに丁石を配して本社までの標識とした。このうち南路の下村(現下の町)堀江港には文久元年建立の両神鳥居がある。これは瑜伽・金毘羅の両神のための鳥居で,四国から入る瑜伽参詣者が見上げると「瑜伽大権現」の扁額が,また金毘羅参詣へと渡海船に向かう人が海に向かって見上げると,「金毘羅大権現」の扁額が拝めるように造られた珍しいものである。下村は隣の田の口港と金毘羅参りの渡海船に誘う客引合戦を行ったところである。境内の南門前町のはずれには倉敷市少年自然の家が整備され,市内外の小・中学生を対象に自然観察,野外活動,史跡めぐりなど青少年を育てる社会教育施設として春から秋の終わりまで利用されている。由加台地は南北約8kmの丘陵が重なり,自然の恵みも豊かで奥も深い。境内の一部と寺有林4万㎡余りに数千本のサクラ・カエデ・ツツジ・サツキなどが植えられ,四季それぞれの趣をもつ遊園地として整備されてきた。特に近年サクラが成長して県下を代表する大桜園として花見をかねた参拝者も年々増大している。多宝塔の南面は眺望もよく児島の丘陵をこえて瀬戸内から四国連山も臨むことができる。広場には難波鴻峰の「四方みな表参道ゆがの秋」の石碑がある。由加神社と蓮台寺周辺はシイ・クスノキ・ヤマモモ・クロガネモチ・スギなどの巨木老木もそびえ原生林も残る。雨は少なく流水も少ないが大小の溜池が散在し,湿地や休耕田もあるので,昆虫も多く約50種のトンボが生息するという。また野鳥の種類も多くカッコウやホトトギスの鳴き声が楽しめる探鳥コースも設定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7187165