100辞書・辞典一括検索

JLogos

7

遥照山
【ようしょうざん】


浅口郡鴨方町・同郡金光町と小田郡矢掛町の境界に位置する山。標高405.5m。養子山・曜星山とも書かれた。近くの阿部山や弥高山と同様に山頂部には平坦面が残り,地質は黒青色の流紋岩で,頂上付近の表土は流紋岩が風化した赤土である。この山一帯は断層地形がよく発達しており,南北の山麓には滑面や分離丘陵がみられる。山頂に慈覚大師(円仁,平安初期の天台宗の僧)の開基と伝えられる厳蓮寺があり,「延喜式」主税寮(帳)に「蓮厳寺䉼(料)一千束」(蓮厳寺は厳蓮寺の書誤りと考えられる)と記されたり,平安初期と推定される布目瓦が発掘されたりしており,平安期に相当な規模の寺院があったことがうかがわれる。現在は,小さな構えの薬師堂が建っており,中には南面に薬師,北面に釈迦を刻んだ2仏1体の石仏が安置され,両脇に日光菩薩と月光菩薩が置かれている。山頂近くからはラジウムを含有する冷泉が湧き遥照山温泉となっている。山頂からは,東は岡山市,倉敷市,南は倉敷市の水島工業地帯,玉島市街地,さらに瀬戸大橋,瀬戸内海の島々や四国まで眺めることができる。西隣の竹林寺山に東京大学東京天文台岡山天体物理観測所が昭和35年に開設されたのを契機に観光開発が進み,山頂一帯に旅館や保養所,キャンプ場などができている。この地域は雨量の少ない所で,山腹には多数の溜池がみられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7187202