100辞書・辞典一括検索

JLogos

12

阿波島
【あばしま】


竹原港の東側にあって南北に細長い島。竹原市高崎町に所属。面積0.464km(^2)。島の北側は源氏ケ鼻で,本土との間に高崎瀬戸(水深30~43m程度)があり,南は白馬岬で唐島瀬戸(水深33~79m程度)となっている。全体的には平坦で,北の丘陵が標高73m,南の丘陵が標高100mとなり,島の周囲の水深は浅い。島の東では25~33mの南北に延びる溝を挟んで沖ノ洲が広がり,島の西では浅海の端に礁があって漁場をなし,魚釣りのレジャーにも利用される。島の周囲は5kmあり,南端(別名白鼻岩)から唐島,東へ松島,小久野島などの海面がスナメリクジラ回游海面として,昭和5年11月に国天然記念物に指定された。スナメリクジラはイルカの一種で体長約1.5m,インド洋などにもいるが,沿岸性が強く瀬戸内海がその活動海面として知られる。イカナゴやワチを追って2~5月に当海域に集まるが,追われたイカナゴ群が海底に逃げるのにタイやスズキが集まるため,それを釣るというスナメリ網代漁業がよく行われていた。竹原から南へ向かうカーフェリーからも冬~春には時折見かけることがあり,地元ではゼコンドウと呼んでいる。5月を過ぎると繁殖期も終わって外洋へ出ていくといわれている。なお,戦前は一部畑地もあったが,東にある大久野島の毒ガスの貯蔵基地の一部にも使用され,現在もコンクリートの置場の跡が残っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7187498